鍛えるのは筋肉だけではなく、生きる力|50歳ではじめて腕立て伏せができた方の話

坊主の本音

「運動しなきゃ」と思いながら、
なかなか一歩が踏み出せない。

そんな方に、
トレーナーとしての正直な考えを
お伝えできればと思います。

トレーニングの本質は「筋肉を増やすこと」ではない

重いものを持ち上げる。汗を流す。
それはトレーニングの表面的な姿です。

その奥にあるのは、
もっとシンプルなことだと思っています。

体を動かす習慣は、
筋肉が育つのと同じように、
気持ちの前向きさや、
「自分を大切にしよう」という姿勢を
少しずつ育ててくれます。

私はそれを「生きる力」
呼んでいます。

「生きる力」とは何か

言葉にすると、こうなります。

体力を理由に、
「行きたい」「やりたい」を諦めないこと。

行きたい場所がある。
やってみたいことがある。
そのときに、体が理由で
諦めなくて済む状態でいること。

私が運動を通してお渡ししたいのは、
これです。

体重の数字でも、
筋肉の大きさでもありません。

腰の手術をしても、痛みが消えなかった方の話

抽象的な話になってしまうので、
実際にあったことをお話しします。

50代の男性です。
腰椎ヘルニアの手術を受けましたが、
痛みは完全には取れませんでした。

さするだけで、電気が走る

最初にお会いしたとき、
腰まわりの筋肉は
かなり硬くなっていました。

腰を曲げないように、
長いあいだ気をつけて
生活してこられた影響です。

手のひらで優しくさするだけで
神経が刺激され、
腰からももの裏にかけて
電気が走るような痛みが出る。
そういう状態でした。

日常生活でも、
くしゃみのようなふとした瞬間に
「ビキッ」と痛みが走り、
数日は引かないのが
普通だったそうです。

トレーニングでも、
細心の注意を払って進めても
腰を痛めてしまうことがありました。

正直に言えば、
できることはほとんどありませんでした。

「そういえば最近、腰が痛くない」

それでも、
できることから少しずつ積み上げました。

腰まわりをゆるめるところから始めて、
柔軟性が出てきたら
自分の体重だけを使ったスクワットを加える。
そうやって、できる種目を
一つずつ増やしていきました。

4ヶ月ほど経った頃です。

「そういえば最近、腰が痛くない」

ご本人が、そうおっしゃいました。

運動がこんなに続くとは思わなかった。
適切に体を動かせば
ちゃんと良くなっていくんですね。
そう言って、
嬉しそうにされていたのを覚えています。

階段を一段飛ばしで
上がれるようにもなりました。

50歳で、はじめて腕立て伏せができた

その方は今、
ベンチプレスの重量を伸ばすことに
夢中になっています。

あるとき、
こんな話をしてくださいました。

小学生の頃、
腕立て伏せが一回もできなくて
からかわれたことがある。
それ以来ずっと運動が苦手で、
自分とトレーニングは無縁だと
思って生きてきた。

それが今ではこんなに好きになって、
50歳で腕立て伏せができるように
なったのが、すごく嬉しい。

そうおっしゃいました。

※腰や関節に痛みがある方は、
自己判断で運動を始めず、
必ず医師にご相談ください。
この方も医療機関を受診されたうえで
運動に取り組まれています。

この仕事をしていて、いちばん嬉しい瞬間

正直に言うと、
私もすごく嬉しかったです。

自分が関わったことで、
一人の方の人生が変わっていく。
それをこれほど直接感じられる仕事は、
そう多くないと思っています。

そしてこの経験は、
運動が苦手な方や中高年の方に
指導していくうえでの
自信にもなりました。

人生100年時代に、運動が大切な理由

長く生きることと同じくらい、
健康で自分らしくいられる時間を
どう確保するか

これがこれからの大きなテーマです。

朝スムーズに立ち上がれる。
好きな場所へ自分の足で行ける。
やりたいことを続けられる。

こうした「当たり前」も、
体の土台があってこそ続いていきます。

体力が落ちるというのは、
人生の選択肢が少しずつ
減っていくことでもあります。

運動が苦手でも、体が硬くても大丈夫です

「自分には無理かも」
そう感じている方ほど、
一緒にスタートラインをつくることに
意味があると思っています。

先ほどの方も、
50年間ずっと
自分は運動に向いていないと
思って生きてこられました。

いま難しいと感じている方ほど、
変わったときの幅は大きくなります。

ゆっくりでいい。続けることが、いちばんの近道

ストイックにやる必要はありません。
休みながらでも、ゆっくりでも、
続けることと、
自分を諦めないこと。
それが何より大切です。

筋肉を鍛えるのは手段であって、
目的は「より良く生きること」

体力を理由に、
行きたい場所を諦めない。
やりたいことを諦めない。

そのきっかけづくりのお手伝いが
できれば、私は十分です。

ゆるく、楽しく、長く。
一緒に続けていきましょう。

私がこの仕事を選んだ理由については、
こちらでお話ししています。

僕がトレーナーになった理由(少し遠回りしてたどり着いた道)

トレーナーは「自分が筋トレする仕事」ではない

ジムに通う目的は途中で変わっていい|体重から健康へシフトする人たちの話

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