「腰痛にはこのストレッチ」
「腰痛持ちは腹筋を鍛えるべき」
こうした情報をよく見かけます。
ただ現場で見ていると、
同じ腰痛でも
必要なことが正反対になることが
珍しくありません。
ある方に効いた方法が、
別の方には悪化の原因になる。
実際にそういう場面を見てきました。
今日はその話をします。
実際に見てきた3人の話
いずれもご本人の許可をいただいて
書いています。
Aさん|首のヘルニア・50代女性
医師から運動を強く勧められて
来られた方です。
姿勢を見た時点で、
はっきりとした猫背と巻き肩でした。
背中に触れると、かなり硬い。
ご本人にその自覚はありませんでした。
背中に痛みがなかったためです。
この方は骨盤が後ろに倒れるタイプで、
背中が丸まった状態が
定着していました。
Bさん|腰椎分離症・40代男性
生まれつきの腰椎分離症で、
医師から体幹を鍛えるよう
指示されて来られました。
この方の場合、
腰を曲げることも反らすことも
避けなければなりません。
取り組んだのは2つです。
ひとつは体幹の強化。
腰に負担をかけずに上半身を支えるには、
深いところにある筋肉から
順に鍛えていく必要がありました。
もうひとつが、
意外に思われるかもしれませんが
ももの裏の柔軟性です。
ももの裏が硬いと、
前かがみになったときに
骨盤がうまく倒れません。
その分を腰が代わりに
動いてしまいます。
柔軟性を出して
股関節から曲げられるようになると、
日常動作での腰の負担が減ります。
Cさん|腰の痛み・20代女性
体を引き締めたいという目的で
来られた方でした。
腰痛のことは、
雑談の中で出てきた話です。
スクワットを見たところ、
腰が過度に反っていました。
「しゃがんだとき、腰が痛くないですか」
と聞くと、痛いとのこと。
Aさんとは逆で、
反り腰のタイプでした。
背景を伺うと、
仕事でヒールを履くようになったこと、
座っている時間が長いこと、
そして新社会人で
常に気を張っていることが
分かってきました。
同じ腰痛でも、必要なことは逆になります
ここからが本題です。
Cさんには「腰をゆるめること」が
効きました。
ではAさんに同じことをしたら
どうなるか。
Aさんはもともと
背中が丸まったタイプです。
そこからさらに腰を丸めれば、
腰痛を引き起こす可能性があります。
Bさんの場合はもっと明確です。
腰椎分離症は
腰を曲げること自体が
悪化につながります。
Cさんに効いたことが、
Aさん・Bさんには
逆に働くということです。
猫背と一口に言っても、
骨盤が後ろに倒れているタイプと、
反り腰のタイプがあります。
見た目が似ていても、
必要な対処は変わります。
「腰痛持ちは腹筋を」の落とし穴
よく目にする情報ですが、
ここにも同じ問題があります。
腹筋運動として
いちばん一般的なクランチ
(仰向けで上体を起こす動作)は、
反り腰の方にとって
腰を痛めやすい種目です。
現場でも
「腹筋をすると腰が痛くなる」
という方はとても多いです。
問題は、そこから起こることです。
多くの方が
「自分は腹筋ができない体なんだ」と
諦めてしまいます。
そして体幹はどんどん弱くなり、
腰の負担がさらに増えていく。
この流れを、何度も見てきました。
腹筋が必要ないのではありません。
種目が合っていないだけです。
腰に負担をかけずに
鍛える方法はあります。
では、どうすればいいのか
自分のタイプは判断しないでください
ここははっきりお伝えします。
骨盤が前に傾いているのか
後ろに倒れているのか。
これを知識のない状態で
判断するのは避けてください。
間違った判断をすると、
そのまま間違った対処に
つながってしまいます。
今より悪くなる可能性があります。
体について学んだことがなければ、
まず専門家に見てもらう。
遠回りに見えて、
これがいちばん確実です。
ただし、これだけは共通しています
タイプに関係なく言えることが
ひとつあります。
やっていて腰が痛む動きは、
続けないでください。
「効いている証拠」ではありません。
体に合っていないサインです。
そこでやめて構いません。
やめたうえで、
別の方法を探してください。
受診の目安
次のような場合は、
運動を始める前に
医療機関を受診してください。
・脚にしびれや痛みが広がる
・安静にしていても痛む
・特定の動作で毎回鋭い痛みが走る
・痛みが数週間以上続いている
先ほどのAさんもBさんも、
医師の指示を受けたうえで
運動を始めています。
私が3人に共通してやったこと
アプローチは3人とも違いました。
ただ、共通していたこともあります。
ひとつは、姿勢をよく観察すること。
動作のどこにエラーが出ているかを
見ることです。
もうひとつは、
その方に関心を持って
話を聞くことです。
Cさんの腰痛は、
雑談から見えてきました。
ヒール、座り時間、
そして仕事での緊張。
私自身も新卒で営業職だった頃、
同じような時期がありました。
その話をしながら聞いていたら、
いろいろと話してくださいました。
体だけを見ていたら、
たどり着かなかったと思います。
最後に
腰痛という言葉は、
あまりに広い意味で使われています。
原因が違えば、
やるべきことも変わります。
場合によっては、正反対になります。
ネットで見つけた方法が
自分に合うとは限りません。
むしろ合わないことの方が
多いかもしれません。
遠回りに思えても、
一度きちんと見てもらう。
それがいちばん早いです。
→ インナーマッスルとは何か|役割・弱まる原因・日常でできるケアを解説
→ 鍛えるのは筋肉だけではなく、生きる力|50歳ではじめて腕立て伏せができた方の話
自分に何が合うのか分からない。
そんなときはお問い合わせから
気軽にご相談ください。
※この記事は特定の運動や治療法を
否定するものではありません。
また診断や治療に代わるものでもなく、
症状のある方は必ず
医療機関にご相談ください。


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